Bonita Oaxacaへ (3) オアハカ染織・刺繍工房めぐり
オアハカは民芸品アルテサニア(Artesanias)の宝庫。
インディヘナの人たちの間に長く伝わる手工芸品の工房を見て歩きました。
サンアントニーノ村のマリア・グアダルーペさんの小花刺繍工房。

マリアさんは、たくさんのメキシコキッチュな情報雑誌や、メキシコ刺繍の紹介ではトップぺージを飾る有名な刺繍職人さん。
オアハカでは、有名な民族衣装でもあるカラフルなパンジーやバラの小花刺繍の名手です。

下絵をフリーハンドでどんどん描いていくのでびっくり。

あまり下調べをせずに来ましたが、サテンステッチだけだと思っていたブラウスには、
ランニングステッチで縫い縮めた部分に、スモッキングの手法で人形や動物が刺繍されています。

面白い事にこのスモッキングの部分の意匠(デザイン)には、「hazme si puedes(アズメ シィ プエデス)=やれるならやってみろ!」みたいな名称がついていて、刺繍職人の技量を、この部分の刺繍で誇示しているのでしょうね。
ほかにも、ドロンワークや、かぎ編みの手法も駆使されていて、単純な巻頭衣の延長かとおもったら、植民地時代のスペインの影響を色濃く受けていることがわかったりして…。

ドロンワークというのは、横糸(もしくは縦糸)だけを抜き取り、残った糸をかがって模様を作ります。

日本では、ドロンワークは、ノルゥエー刺繍のハーダンガーが有名ですが、英語ではホワイトワークっていうのね。白い布に白い糸で刺繍されることが多いからでしょうか?
私は、学生の頃、刺繍の課題でこのハ―ダンガーの糸ぬき作業に泣いたことがあります。
スモッキングは、きっと修道女たちによってもたらされたものだろうし、ドロンワークも最近この地方に入った手法と思えます。肩と、首周り、脇のダーツなどは、かぎ針編みでつながれていて、手芸名人の手法をたくさんとりいれたブラウスになっています。「各パーツの作業は専門者の分業なの?」と聞いたら、すべての手法を一人の職人が習得し、全部の工程を一人でするのが基本とか…、まさに手芸名人ですねぇ。

私も少しだけ、一緒に刺繍を体験させていただきました。かぎ針編みも…。
真剣に、数カ月でいいから本気で弟子入りしたいと思った工房です。
特別にお願いして、工房ツアーには、当初なかった羊毛織りタペテの工房へも行きました。

Teotitlan del Valle村のイサック・バスケス・ガルシアさんの工房。

どうしても天然染織を見ておきたかったんです。

みやげ物屋には、カラフルな羊毛織り(そのほとんどが化学染料)があるなかで、
ここは、天然染料の染織にこだわった工房です。
一番メキシコらしい色は、サボテンに付着しているコチニージャと呼ばれる虫から抽出した赤い染料。

鮮やかな赤の染織は、化学染料とはちがった風合いを出していてその赤のグラデーションは見事としか言いようがありません。

もちろんジーンズを染めたインディゴ(藍)、ハーブや花から抽出する黄色や緑もあって、農作物が豊富なメキシコらしい染織技法の豊かさを知る事が出来ました。


刺繍、羊毛染織につづいて、木綿の紐Fajaと呼ばれる腰織りの技法の工房です。
Santo tomas halieza村へ。
この工房のある村は、女性の機織りの共同体があって、互助的な生産システムも整っていました。
こんな市場で売られています。

手工芸品の受賞者アビガエルさんによるFaja。


端の可愛い人形がすごすぎる。
幅は、色々あるけど、帯締めにぴったり!と思って和装用に帯締めの幅のFajaを一本買い求めました。

まさかメキシコの染織が和装にも合うとは思いませんでしたが、幅も色合いも、風合いもまさに帯どめにぴったりです。
オアハカ市内から、バスを乗り継ぎ3~6時間も奥地へいけば、
クロスステッチを駆使したサン・ビセンテ村の刺繍や、フリーダカーロが愛してやまない有名なイスモ地方の豪華な花の刺繍などがあります。
でも、2泊3日の弾丸ツアーでは、オアハカ市周辺の工房しか見て回れないのが辛い。
イスモの大柄の花の刺繍、黒布地やベルベッド布地の刺繍で、1900年代ごろから作られた和服の意匠からの影響ともあると研究家たちは語っています。もうひとつ、イスモ地方のガチョとよばれるチェーンステッチの刺繍も見事です。
オアハカだけでこれだけの刺繍の手法と意匠があるメキシコの手仕事。
全土ではどれほどの種類がある事やら。
わたしは、常々、民族染織の作品はコレクションや飾り(額やオーナメント)だけではつまらないと思っています。コレクターや研究家ならともかくも、買い求めた以上、その価値を知って使いたい。作り手への感謝の思いからです。ようやく、メキシコの染織のおおよその地方と手法がわかって来て、旅に出て実際に目で確かめて、デザインの違いを理解していくのはわくわくして本当に楽しいです。
たまたま今まで暮らした国々には、素晴らしい染織技術と、織物、刺繍、染めの国ばかりで、行く先々で、自分の暮らしにどんなふうに取り入れられるかなと考えるのが好きです。
他にも、木工や焼きもののなどの工房も見たのだけど、そそられたのはこの3つの布の工房。
やっぱり布が大好きだわ!
今回の民芸品工房ツアーは、
オアハカ さる屋さんの櫻井陽子さんにコーディネートをお願いしました。
さる屋HP http://saruyaoax.com/
毎度ご訪問ありがとうございます。
こんなランキングに参加しています。お時間があれば、ぽちっとお願いね!

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インディヘナの人たちの間に長く伝わる手工芸品の工房を見て歩きました。
サンアントニーノ村のマリア・グアダルーペさんの小花刺繍工房。

マリアさんは、たくさんのメキシコキッチュな情報雑誌や、メキシコ刺繍の紹介ではトップぺージを飾る有名な刺繍職人さん。
オアハカでは、有名な民族衣装でもあるカラフルなパンジーやバラの小花刺繍の名手です。

下絵をフリーハンドでどんどん描いていくのでびっくり。

あまり下調べをせずに来ましたが、サテンステッチだけだと思っていたブラウスには、
ランニングステッチで縫い縮めた部分に、スモッキングの手法で人形や動物が刺繍されています。

面白い事にこのスモッキングの部分の意匠(デザイン)には、「hazme si puedes(アズメ シィ プエデス)=やれるならやってみろ!」みたいな名称がついていて、刺繍職人の技量を、この部分の刺繍で誇示しているのでしょうね。
ほかにも、ドロンワークや、かぎ編みの手法も駆使されていて、単純な巻頭衣の延長かとおもったら、植民地時代のスペインの影響を色濃く受けていることがわかったりして…。

ドロンワークというのは、横糸(もしくは縦糸)だけを抜き取り、残った糸をかがって模様を作ります。

日本では、ドロンワークは、ノルゥエー刺繍のハーダンガーが有名ですが、英語ではホワイトワークっていうのね。白い布に白い糸で刺繍されることが多いからでしょうか?
私は、学生の頃、刺繍の課題でこのハ―ダンガーの糸ぬき作業に泣いたことがあります。
スモッキングは、きっと修道女たちによってもたらされたものだろうし、ドロンワークも最近この地方に入った手法と思えます。肩と、首周り、脇のダーツなどは、かぎ針編みでつながれていて、手芸名人の手法をたくさんとりいれたブラウスになっています。「各パーツの作業は専門者の分業なの?」と聞いたら、すべての手法を一人の職人が習得し、全部の工程を一人でするのが基本とか…、まさに手芸名人ですねぇ。

私も少しだけ、一緒に刺繍を体験させていただきました。かぎ針編みも…。
真剣に、数カ月でいいから本気で弟子入りしたいと思った工房です。
特別にお願いして、工房ツアーには、当初なかった羊毛織りタペテの工房へも行きました。

Teotitlan del Valle村のイサック・バスケス・ガルシアさんの工房。

どうしても天然染織を見ておきたかったんです。

みやげ物屋には、カラフルな羊毛織り(そのほとんどが化学染料)があるなかで、
ここは、天然染料の染織にこだわった工房です。
一番メキシコらしい色は、サボテンに付着しているコチニージャと呼ばれる虫から抽出した赤い染料。

鮮やかな赤の染織は、化学染料とはちがった風合いを出していてその赤のグラデーションは見事としか言いようがありません。

もちろんジーンズを染めたインディゴ(藍)、ハーブや花から抽出する黄色や緑もあって、農作物が豊富なメキシコらしい染織技法の豊かさを知る事が出来ました。


刺繍、羊毛染織につづいて、木綿の紐Fajaと呼ばれる腰織りの技法の工房です。
Santo tomas halieza村へ。
この工房のある村は、女性の機織りの共同体があって、互助的な生産システムも整っていました。
こんな市場で売られています。

手工芸品の受賞者アビガエルさんによるFaja。


端の可愛い人形がすごすぎる。
幅は、色々あるけど、帯締めにぴったり!と思って和装用に帯締めの幅のFajaを一本買い求めました。

まさかメキシコの染織が和装にも合うとは思いませんでしたが、幅も色合いも、風合いもまさに帯どめにぴったりです。
オアハカ市内から、バスを乗り継ぎ3~6時間も奥地へいけば、
クロスステッチを駆使したサン・ビセンテ村の刺繍や、フリーダカーロが愛してやまない有名なイスモ地方の豪華な花の刺繍などがあります。
でも、2泊3日の弾丸ツアーでは、オアハカ市周辺の工房しか見て回れないのが辛い。
イスモの大柄の花の刺繍、黒布地やベルベッド布地の刺繍で、1900年代ごろから作られた和服の意匠からの影響ともあると研究家たちは語っています。もうひとつ、イスモ地方のガチョとよばれるチェーンステッチの刺繍も見事です。
オアハカだけでこれだけの刺繍の手法と意匠があるメキシコの手仕事。
全土ではどれほどの種類がある事やら。
わたしは、常々、民族染織の作品はコレクションや飾り(額やオーナメント)だけではつまらないと思っています。コレクターや研究家ならともかくも、買い求めた以上、その価値を知って使いたい。作り手への感謝の思いからです。ようやく、メキシコの染織のおおよその地方と手法がわかって来て、旅に出て実際に目で確かめて、デザインの違いを理解していくのはわくわくして本当に楽しいです。
たまたま今まで暮らした国々には、素晴らしい染織技術と、織物、刺繍、染めの国ばかりで、行く先々で、自分の暮らしにどんなふうに取り入れられるかなと考えるのが好きです。
他にも、木工や焼きもののなどの工房も見たのだけど、そそられたのはこの3つの布の工房。
やっぱり布が大好きだわ!
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| 2014-03-18 16:50
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